父の帽子

【著者】森茉莉

【発行】筑摩書房

【発行年】昭和32年発行

【本の状態】
函付。古い本ですので、一部に印刷スレなど見られます。経年による若干のヨレ、スレ、函背の小さなヤブレなどございますが、落丁、書き込みなどなくよい状態です。
※商品の状態につきまして気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

【その他】
「森の中で、たてがみを立てて咆哮する一匹の獅子が私の眼には見えてゐて、父の肖像の眼の中にその獅子がゐるのを見る時、私はどれだけ父を好きだか知れない自分を意識するのがいつものことであった。」

「パッパ、それは私の心の全部だつた」と言い切る森茉莉。
偉大な父・鴎外への愛、恋心をあますところなく甘美につづっています。
自身の結婚に際し、「私は父から捨てられる寂しさを、味はつた」「あたしはパッパとの想ひ出を綺麗な箱に入れて、鍵をかけて持つてゐるわ」などと描写し、
「父の人間には詩がある。夫には詩がない」と新郎に対し辛辣な茉莉。
どきどきするような「おのろけ」と、洗練された調度品、舶来の食べ物、独逸で誂る洋服に囲まれた千駄木の家での暮し、幸福に満ちた幼い日々のことなど、茉莉の時に毒々しい観察眼と瀟洒な文章にうっとり・・・。

また鴎外だけでなく、
恐妻として知られる美しい母しげの知られざる一面、母への思慕と愛情もたっぷりと描かれた、愛に満ちた宝物のようなエッセイ集です。

昭和32年に発行された森茉莉最初の随筆集であり、茉莉はこの作品で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しました。

型番 kyoto
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